とある飛空士への夜想曲 下
あらすじ
サイオン島には「魔犬」がいる――。ヴィクトリア海海戦より半年後、帝政天ツ上軍の撃墜王・千々石は、神聖レヴァーム皇国軍の飛空士たちにそう呼ばれ恐れられていた。しかし、物量に劣る天ツ上の兵士たちは、レヴァーム軍の果てしない攻撃を前に次々と命を散らしてゆく。そして、ついに東進を開始したバルドー機動艦隊。迎え撃つべく、空母「雲鶴」に再び乗り込んだ千々石を待ち構えていたのは、最新鋭科学兵器に守られた海の要塞と、あの男の技だった……! 魔犬と海猫――ふたりの天才は決着を求め、天空を翔る!「夜想曲」完結!!
レビュー
苛烈な飛空士の生き様を心に刻め。
嗚呼、またしてもやられた。
しばらく思い出すたびに胸が締め付けられるのだろう。
こうしてレビューを書いてる今もを思い出す度涙が出そうになる。
海猫との再戦のために、日に日に悪化する戦況を鬼神の如く飛び回る千々石。
空戦に取り憑かれ、戦い続けて磨耗しきった千々石をつなぎ止めていたのは一人の少女。
海猫を墜としてユキの元へ帰る。
そう約束して彼は飛び立った。
空に愛された者同士の戦いは、意地と意地のぶつかり合いだった。
「追憶」から追ってきたファンでこの戦いに熱くならない人は居るはずがない。
海猫との決着、戦争の行方、ユキとの約束。
見所は、なんて聞くのはもはや無粋。
どれ一つとして見逃していいシーンなんて無い。
圧倒的物量をもってじわじわと追いつめられ、優位を誇った飛空機の性能でも追い抜かれ、一騎当千の飛空士達も失われて、それでも誇りの為に戦い尽くした帝政天ツ上。
シリーズの中でも最も壮絶な戦いがここにあった。
これまでのシリーズとは結末も異質。
「恋歌」とは違った感情で、「夜想曲」が鳴りやまない。
この本に出会えたことは間違いなく幸せだったと、断言できる。
是非、皆様にもこの本を読んでもらいたい。
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